戸田の杜クリニック 院長&スタッフブログ

新たなエピジェネシスの話

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以前にも書いたことがありますが、今日は違った話題でエピジェネシスのお話をします。

エピジェネシスというのは遺伝子そのものではなく、遺伝子発現のスイッチをオンにしたり(主にアセチル化による)オフにしたり(主にメチル化による)することにより結果として遺伝情報が替わってしまうことを指します。

マウスの実験で生まれて間もなく2週間ほどストレスを与えて、その後は普通に育てるということをしました。外見上は全く普通に育ったように見えてストレスマウスは適応障害のある大人に育ったのです。困難な状況に置かれるると、それに立ち向かったり、方策を考えたりしないですぐあきらめてしまうようになったというのです。

驚くべきことにその性格は子供だけでなく、孫の世代まで受け継がれたというのです。これはMecp2とCrfr2という遺伝子にメチル化が起きておこるのですがエピジェネティックな変化が世代を超えていくという驚くべき実験です。

ヒトではいじめによりSERT遺伝子(神経伝達物質セロトニンがニューロンに移動するのを助けるタンパク質の遺伝子)のプロモーター領域でメチル化の量が優位に上昇していることが一卵性双生児での比較研究であきらかになりました。

なぜか片方だけ小学生時に繰り返しいじめにあった双子で5歳時にはなかったエピジェネティックな変化が12歳時で認められたというのです。

さらに遺伝子変化の起きた方のこどもはストレスにさらされた時のコルチゾール分泌量が減少していました。つまりストレスに対し適応不全が起きているのです。ある意味ではすごくいじめられた時期にコルチゾールが過剰になり体に悪影響が起きないようにする適応反応により遺伝子変異が起きるのだけど、その後の将来においてはストレスに適正に対応できなくなるような身体にエピジェネティックな遺伝子レベルで変化が起きてしまうということになります。

ネズミでおきたような次世代への影響は世代交代の時間のかかるヒトではなかなか確かめられませんが、ネズミでの結果からは人でもこういった変化が次世代に引き継がれそうなことは予想されます。

9・11(同時多発テロ)で高度のPTSDをおこしている人のこどもが似たようなストレスへの不適合を起こしているらしいということが最近報告されてきています。

エピジェネシスについては日々新たな驚きが報告されており、今後も目が離せません。