戸田の杜クリニック 院長&スタッフブログ

COVID-19 中間点での私見

COVID-19の行政の対応について今般、諸方面から多様な意見が出されています。第1波の流行が大分制御されつつあり、東京都が第3段階の指定解除を行うことを決定した6月12日の時点での僕の感想をまとめたいと思います。

1月28日、COVID-19を感染症法上の「指定感染症」と検疫法上の「検疫感染症」に指定する政令を閣議決定し2月7日に施行となりました。

感染症法では、感染力や重症度などに応じて1類から5類感染症まで分類されています。例えば、エボラ出血熱は1類感染症、COVID-19と同じコロナウイルスによるSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)は2類第2種感染症指定医療機関感染症に定められています。感染性や病原性の強い1類、2類感染症については、感染の拡大を防ぐために都道府県知事が必要と判断した際には入院措置を取ることができます。1類感染症、2類感染症は、診療する医療機関も定められており、2類感染症を診療するのは(348施設)、1類感染症と2類感染症を診療するのは第1種感染症指定医療機関(55施設)、さらに「未知の病原体による感染症」と認定された新感染症を含め1類・2類感染症を診療する特定感染症指定医療機関(4施設)が指定されています。

今回、COVID-19感染症が指定される「指定感染症」とは、既に知られている感染性の疾病であって、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるものをいいます。

これまで感染症法に指定されていない感染症のうち、緊急で患者の行動を制限することが必要な場合に、一定の期間(通常1年)に限って措置を行えるようにするというものです。その後も必要であれば審議され、1類~5類のうちのいずれかに指定されることになります。COVID-19は病原性や感染性を考慮すると、2類感染症相当とされる可能性が高そうです。これまでに指定感染症になった感染症としては、2003年SARS、2006年のインフルエンザ(H5N1)、2013年の鳥インフルエンザA(H7N9)、2014年のMERSがあります。いずれも指定感染症になった後には2類感染症として定められており、今回も2類感染症に指定される可能性が高いと思われます。

指定感染症になることによるメリットとしては、以下が挙げられます。
患者に対する入院措置を取ることができる

②入院費が公費負担となる

③届け出が必須となり発生動向調査が容易となる指定感染症となることで、診断時に届け出る必要が生じることから、全数把握がより正確になる

このような観点から比較的早い時期に法整備がなされました。適切な法的背景をもとにSARSやMERSの時のように感染を抑え込もうとしたわけです。半年後に迫った2020東京オリンピックを成功させるためCOVID-19対策は喫緊の課題だったわけです。

当初主たる感染対策は特定の集団での発生を制御すればよいというクラスター対策でした。SARSもMERSもこの方法でコントロールされました。

PCR検査を酷すぎるレベルまで制限したのもクラスター対策で感染を乗り切れると考えていたからです。

不幸なことにCOVID-19はSARSやMERSと同じコロナウィルスでありながら感染しても無症状な人が圧倒的に多くなおかつ無症状な人からも重症患者と同じように他人に感染するというこれまでにない特性がありました。誰がウィルスを持っているかがわからない状況なので本来であれば積極的にPCR検査を行い、正確な市中の感染状況を把握する必要がありました。しかし検査は保険所や指定医療機関でしか行えないため、医師が判断すれば検査可能となった3月以降でも一向に検査件数は目標に届かなかったのです。検査を行ってもらえずCOVID-19感染の否定できない発熱患者は2週間自宅待機しなさいという、社会活動に大きな影響を与える施策がなされたわけです。

現在、結核を疑った場合は喀痰のPCR検査は一般の医療機関でも行えるのにCOVID-19では行えないのでは検査件数は増えないのは当然です。この冬インフルエンザの流行る時期に一般の医療機関でインフルエンザの検査だけして、あとはCOVID-19の検査のできる機関に委ねるということは決してあってはならないでしょう。

また、無症状のCOVID-19感染者も隔離を要することになるのでPCR検査を拡充すると、法改正をしないと医療機関がパンクしてしまうことは容易に想像できます。

これまでの結果でアジア・オセアニア地区は欧米と比較して圧倒的に人口当たりの死亡率が低いことが報告され、原因の解明が待たれるところです。この地域の中で比べると、日本の死亡率は決して低くなく感染制御に成功しているとはとても言えない状況ですがこのことはニュースではあまり流れていません。

今すべきことはワクチンや治療薬の開発を急ぐことであるのは言うまでもありませんが、現時点での僕の考えとしては

  • PCR検査を唾液で一般の医療機関でもできるようにする。
  • 無症状またはごく軽症の感染者の対応を考え直す。
  • 流行時の短期間での欧米並みの迅速かつ十分な経済的補填のついたロックダウン政策の法的整備。

といったことを実行してほしいと願っています。