戸田の杜クリニック 院長&スタッフブログ

安倍首相の退陣声明にあたって

安倍政権が歴代最長記録を更新してほどなく終焉を迎えようとしています。

またもや潰瘍性大腸炎の悪化との由。7月末から以上に顔色が悪かったですからね。巷の噂では手術を要する悪性のものの可能性も言われています。父である安倍晋太郎さんが今の彼と同年代で総理を目前にして膵臓がんで倒れたこともあり、がんには相当神経を使っているようです。養生してまた元気になってほしいですね。

さて7年余にわたる政権には検証が必要です。政治の素人ながら僕なりの評価をしたいと思います。

  • アベノミクス 3本の矢を放ち、日銀の掟破りともいえる低金利と大量の通貨・国債発行と自己引き取り、株の買い支えにより株価は8600円台→22000~23000円レベルまで大幅に回復しました。その結果大企業は多額の含み益を手にしました。一方、国民の平均年収は約430万→440万円とほぼ横ばいです。OECDのなかでこんなに年収が増えていないのは日本だけです。この間消費税が5→10%に上がったことを考えると実質は減少していると言わざるをえません。上の水が満たされれば国民全体に滴り落ちてくるというトリクルダウンという考えは幻想であったようです。放った矢はどこに消えてしまったのでしょう。この先待っているのは1100兆円に及んだ国の借金を誰が返していくのかという将来への過大な付けです。
  • 北朝鮮拉致問題 政権の最優先課題と掲げながら、あとから出できたトランプ米大統領が2回もキム総書記と会談しているのに、日本の首相はジャイアンに伝言を託すだけで鼻であしらわれ続けました。一歩の進展もありませんでした。せめて1回でも直接会談をしてほしかったです。
  • 北方領土返還問題 こちらはプーチン大統領と20回以上も会談しましたが全く進展なし。おまけに政府広報からは「北方領土は日本固有の領土です」、という金科玉条のお題目がいつの間にか削除されている有様です。右翼の皆さんはどうして大騒ぎしないのだろう?
  • 雇用状況 雇用者数は約5100万→5600万人と増加しましたが正規職員は3300万→3400万、非正規職員は1700→2100万と非正規の増加の方が多数を占めています。株価が上がっても年収が増えていない背景はこの辺にもあるのでしょう。
  • 観光立国 870→2800万人と4~5倍増です。銀座も京都も外国人だらけ(日本中かな?)でしたがコロナ禍後は本当にひっそりとしていますね。外国人観光客はなぜ日本に来るかというと彼らの年収が増え相対的に日本観光がお手軽になったということが大きいと思っています。世界中の都市のどんなホテルの宿泊料金は中堅クラスでも1泊5万がざらですからね。
  • COVID-19対応 PCR検査体制の拡充の圧倒的な遅れ、国民に自粛だけ求め経済的保障があまりに貧弱な緊急事態宣言、意味をなさないアベノマスクなどお世辞にも及第点とは言えません。ドイツのメルケル首相のTV演説などと比べると悲しくなるくらい差を感じました。欧米、インド、南米のように危機的感染者数にならなかったのは不幸中の幸いです。
  • 政治全般 絶対的権力は絶対的に腐敗する、という言葉があります。体制にすり寄った方が結果としていい思いができるのならそうなっていくのが人情でしょう。官僚の人事を内閣府が握るようになったことで、官邸が人事を都合のいいように恣意的に操作できるようになっています。森友学園事件での大阪国税局での忖度からの公文書改ざん、とその後の佐川長官の出世などは典型的な出来事ですし、黒川検事総長の定年延長問題は余人をもって代えがたい一人のために法律まで変えようとする始末、もっとも賭けマージャン事件でとんでもない落ちがつきましたけどね。なぜか選挙は7戦全勝でありました。民主党の分裂で対抗野党がなくなってしまったこともありますがこれは国民の選択した結果ですからね。ただし得票数を考えると公明党の組織票の助けがなければこの結果は簡単にひっくり返りうるものなので、永遠に勝ち続けるわけではないでしょう。

為政者は厳しい評価に耐えなければいけませんが、長期安定政権の残したレガシーは決してその長さ同様誇れるものではなかったように思います。

ところで、1年間煩わされた左の50肩が週末をもって完治したようで個人的には明るい話題です。