戸田の杜クリニック 院長&スタッフブログ

MOLST; COVID-19の時代に

モルストという言葉があります。

MOLST(Medical Orders for Life-sustaining Treatment)。これは尊厳死の権利を主張して延命処置の打ち切りや緊急時の非処置を希望することです。

日本ではリビングウィルという言葉で知られていることが多い概念ですね。

自分が急変して危篤状態になったとき、生存する見込みや元気に回復する見込みが極めて少ない時の人工呼吸器管理などの救急処置をどうするかあらかじめ決めておくことはとても大切なことです。

家族が少なくなり、一人暮らしのことも少なくない昨今、救急現場の初めの段階で自分の意志と違った治療が始められると不要な苦痛を味わうことになりかねません。

僕の留学していたボストン(マサチューセッツ州)では、自分の署名をしたモルストを冷蔵庫に貼っておくことが義務付けられています。救急隊がそれを見て搬送先の病院に持参することになり、いざというときの不要な延命処置をしなくて済むようになっています。

もちろん回復が十分に見込まれる病気の時は十分な治療が施されます。

COVID-19はあっという間に病状が悪化することがある病気です。最近では羽田参議院議員が車でPCR検査に向かっている途中に頓死するということがありました。高齢で急激に悪化した場合に人工呼吸をつけても救命率はとても低いことが報告されています。

人工呼吸器をつけても回復する見込みのない場合にそなえて、あらかじめ自分の意思を署名付きで人目につくところに貼ったり、財布に入れておくことをお勧めします。ご家族の方に常日頃自分の意思を伝えておくことも大切ですが、やはりサイン付きの書類の方が法的に意味があるでしょう。

コロナ禍の時代に、あらためてモルストについて考えてみることをお勧めします。