戸田の杜クリニック 院長&スタッフブログ

運動すると骨や筋肉から健康長寿物質が出ます

運動が身体にとっていい理由が、最新科学で次々と明らかになってきています。

もともと、運動すると認知症状が改善したり、健康寿命が延びたり、がん発生が少なくなるなどのことが多人数での研究をする疫学研究で明らかにはされていましたが、その学問的な背景は十分にはわかっていませんでいた。

運動による肥満防止や、基礎代謝の維持、心肺機能の向上などの直接的な効果は従来から理由もほぼ明らかでその効果も期待されていましたが、近年の研究ではさらに運動により筋肉と骨から種々のサイトカイン(一種のホルモンのようなもの)が分泌され、多くの臓器に働きかけていることがわかってきました。

筋肉からはマイオカインと総称される物質が分泌されます。そのなかでもインターロイキン6(IL-6)という本来は炎症反応を惹起させる物質が運動後大量に放出され、他の腫瘍増殖作用をもつTNF-αというサイトカインを抑制し、これにより大腸がん予防効果があるらしいことが分かってきました。他の癌にも同じことは言えそうです。

運動により骨からはオステオカルシンという物質が分泌され、血糖値を調節しているインンクレチンやインスリン量を変化させ糖尿病を予防する働きをします。さらに、記憶を司る脳の海馬にはオステオカルシン受容体があり、運動により記憶力が向上することのひとつの理由となっています。海馬細胞は毎日800個ほど新しく作られていることが近年の研究で分かっており、従来の脳細胞は20歳を過ぎると死滅する一方であるという定説を覆しています。

骨からはオステオポンチンという別の物質も運動により分泌されており、これは免疫作用を増強することがわかっています。

他に骨から出されるFGF23という物質は、腎に受容体がありリンの排泄を促しています。リンを十分に排泄することが多くの哺乳類で長寿につながるらしいことがわかってきました。

このように運動すると、①糖尿病予防、②免疫力増強、③がん予防効果、④記憶増強効果、⑤長寿、などの数多くのご利益が筋、骨格組織から得られ、運動が身体にいいことの理由のひとつとして医学的に証明されてきています。

コロナ禍でも人混みでない外を歩くことは安全です。身体を動かしましょう。