戸田の杜クリニック 院長&スタッフブログ

夢と睡眠について

COVID-19の流行は第5波の終焉の後はいまだ気味が悪いくらい治まっています。欧米各国は今でも毎日数万人の新規患者が出ているし、近隣のアジアでも感染は一定数流行が続いているので、これがいつ再び日本に飛び火してくるかは時間の問題のように思われます。

さて今日は夢と睡眠のお話です。

以前から何回も書いているように僕はロングスリーパーです。平均すると最低8時間は寝ています。両親ともそうでした。眠りに入るときはBGMでクラシックかジャズを流しながらあっという間に昏睡してしまいます。さすがに若い時ほど深い眠りになることはなく、少しの物音で目覚めはしますが大体3~4時ころまではしっかりとした眠りができていると思います。その後朝方は1時間ほど、うつらうつらしながら5~10分ほどの短編で、なおかつストーリーの連続する夢を見ることが多いです。

以前は夢はレム睡眠期で主に朝方にみるという学説が主流でしたが、近年の研究では夢はノンレム睡眠の時期でも見るし、寝入ってすぐの時間でも見ていることが分かっています。ただし、夢の内容とか役割には大きな違いがあるようなのです。

睡眠早期の主にノンレムの時期の夢は直前の体験の情報整理をしています。勉強したことや運動したことなどはこの時期に脳の中で整理され記憶の中に蓄積されます。寝る前にはうまくできなかったことが翌日急にできるようになったりするのはこのためです。また、徹夜で勉強してもテストが終わってすぐ忘れてしまうのもこのためです。

恐怖を伴う強烈な体験をした場合はこの時期に恐怖体験をうまく分解してしまうようです。うまく分解されないとPTSDなどに繋がることになります。

早朝のレム睡眠の時期の夢は、ノンレム期に分解されて脳内に残っているものの中からあまり関連なない事柄をつなげて新たな話を作るという働きがあります。昔の体験と今の体験が入り混じることもよくあります。なぜそうなるのかはよくわかっていません。

このように夢は脳の情報整理に有用な働きをしているようなのです。

一般的なこれまであった睡眠導入剤は脳の働きすべてをシャットダウンするような眠りになるため夢をみません。ということは眠ったという感覚はあっても夢のもたらす記憶整理はできないことになります。悪夢も見ないという点ではいいところもありますが・・・

一方最近のメラトニンやオレキシンといった生理的な睡眠・覚醒関連ホルモンに働きかけるベルソムラとかロゼレムといった導入剤は生理的な睡眠をもたらすため夢を見ます。当然悪夢もみるので嫌がる人もいますが、夢を見ることの大切さを考えるとこちらをお勧めしますね。

脳は睡眠中でもほとんど代謝を落としません。これは夢のような情報整理をしているだけでなく、マイクログリア細胞という脳細胞を取り巻いているお世話をする細胞が脳細胞に栄養を与えたり老廃物を取り除いたりして活発に活動しているためでもあります。そしてマイクログリア細胞は神経細胞間のシナプス結合を誘導したりもしています。脳の可塑性は睡眠時間内にもたらされるのです。

慢性的な睡眠不足の人は、脳内のお掃除や配線工事がうまくできないことになります。これが認知症の原因の一つともいわれています。

よく運動してよく眠る。これが大事です。